生物学者のアメリカ暮らし。

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おたふく風邪と日本

Facebookで日本人の友達の子供がおたふく風邪の疑い、というポストがあって、結局違ったので安心したのですが、なぜ日本はおたふく風邪の予防注射が任意なんだろう?と不思議に思い、調べてみました。
ちなみに友達の子供がおたふく風邪かも、という時点で夫は驚愕。アメリカではMMR(風疹、マンプス(おたふく風邪)、麻疹)の混合ワクチンがほぼ義務づけられているので、おたふく風邪自体珍しいのです。「子供のうちに罹れば軽い」とはいっても、それが原因で片耳の聴覚を失う確立は1000人に1人だそうで、それを発表した日本のチームの論文に対して「な、なんでそれでワクチンちゃんと打ってない訳?聞こえないの?(すごく意訳)」という痛烈な批判コメント(この雑誌にアクセスがないと読めません)が発表されました。
おたふく風邪はVaccine preventable disease(ワクチンで予防可能な病気)の一つ。
http://www.cdc.gov/vaccines/vpd-vac/vpd-list.htm
ではなぜ、おたふく風邪のワクチンが日本で浸透してないのか、というと、どうやら1989年から1993年にかけて行われたMMRワクチンのうち、おたふく風邪ワクチンの副作用で髄膜炎が結構出たとのこと。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16884835
この論文によれば、アメリカ国内で使われているおたふく風邪ワクチンはJeryl-Lynn株で、髄膜炎を起こす確立は1億分の1以下なのに対し、日本で使われた株は1/1000とかそれより多い可能性も。髄膜炎は1週間ほどで自然治癒し、後遺症もほとんどないのですが、そこまで確立が高いと使わなくなったのも当たり前。っていうか日本のワクチン開発者、何やってたんですか。。。
この厚生省の発表によると日本で既にJeryl-Lynn株はテストしてある。なのに効果は日本の株の方が高いとして、日本では髄膜炎を起こす可能性の高いワクチンを使っているみたいです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000014wdd-att/2r98520000016rqu.pdf
ワクチンによる副作用の少なさをとるか、ワクチンの効き目をとるか、ってとこですかね。。
実際、アメリカ国内でも流行は何回かあって、大体ヨーロッパ旅行とか行ってかかって帰ってきた大学生がルームメイトにうつす、そのルームメイトがマブダチとか彼氏彼女とか、一日中一緒にいる人にうつす、(潜伏期間中も感染する)という、かなり接点の多い設定だとワクチンを2回受けててもうつるそうな。でも、その場合は卵巣炎とか睾丸炎になるケースはほぼないそうで、ウィルスがうつる事自体は防げないけれども危険な症状は防げることが多いということです。だから、副作用の恐怖心を与えないために、副作用の少ない方を選択するのが普通だと思う。

ちなみに、
f0171104_7122178.jpg
おたふく風邪件数を人口1000人あたりにプロットしてみました。かなりめんどくさかったので2012年が左になってるとかいう文句は受け付けません。(情報源:http://apps.who.int/immunization_monitoring/globalsummary/timeseries/tsincidencemumps.html 国ごとの人口 http://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL )
左からオーストラリア、ベルギー、カナダ、中国、コロンビア、イタリア、日本、ネパール、オランダ、ニュージーランド、韓国、スウェーデン、グレートブリテン、アメリカ合衆国です。
日本はネパールと同じレベルということがわかりますね。

アメリカにおける反ワクチンの動きについては長くなるのでまたの機会に書こうと思います。
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by hamakkoinmidwest | 2014-06-02 07:12 | serious stuff | Comments(0)

親友の誕生日

今日は独立記念日。週のど真ん中ですが、ボス含むラボの半分は休みを取ってました。
彼も今日は家で仕事すると半分仕事しつつNetflixで映画観てるので、私も早めに帰ってきてのんびりしてます。
ホットドッグが一年で一番売れる日(?)だけあって、知り合いの多くは外でグリルするそうですが、外気温が体温以上あるためうちは普通の料理で済ませます。訳あって個人的にあまり盛り上がる気にならない祝日なので。

今日はアメリカの誕生日。でも、私の親友の誕生日でもあります。

20歳の時に亡くした親友です。

私が会いに行く予定だったその月に、彼女は自ら命を絶ってしまいました。

高校の時、ご両親がグリーンカードの抽選に当たり、彼女もアメリカへ。日本に残された友達一同は、泣く泣く別れを告げました。

しばらく経って、彼女からの連絡が途絶えがちになりました。
手紙の内容からも、彼女がその時付き合っている日本人の彼に夢中なのが分かりました。
彼女の頭の中は彼の事が全て、になっていたのです。
そして日本とアメリカとの遠距離恋愛となり、ある日突然、彼から電話がかかってきて、共通の友達と付き合う事にした、と別れを告げられたそうです。
その直後には大丈夫そうに振る舞っていたそうなのですが、しばらく姿が見えなかったので気になったお母さんが探したところ、物置で発見された時にはもう手遅れでした。

私はその時短期語学留学中で、親友に会いに行く予定にしていたのですが、彼女のお母さんから電話がかかってきて、、自分の耳が信じられないとはまさにそのことでした。
その後は毎晩涙が出てよく眠れませんでした。
結局、私は予定通り親友の家に行き、彼女へさよならを言いました。

共通の友達とも話すのですが、何年経っても、彼女の誕生日と命日、そして人生の節目で彼女を必ず想うのです。
彼女がまだ生きていたらなぁと。

恋愛に夢中になるのはいいけれど、恋愛だけが全てじゃない。
過去に戻ってそれを伝えられたらなぁ、と、残念でなりません。

生きててくれたら。今会えたなら。

ねぇ、戻ってきてよ。話したい事沢山あるんだから。
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by hamakkoinmidwest | 2012-07-05 07:10 | serious stuff | Comments(0)

Outrage factor- クライシスコミュニケーションの基本

前回の続きです。

Outrage factorって何だ?と思ったので調べてみたら、リスク・コミュニケーションの専門家のこのページを発見し、なるほどと思った事が沢山ありました。

何らかのリスクがある時に政府が市民・国民に注意を呼びかける時、どのようにその状況を扱うかによって、一般からの反応が違ってくるということ。

Risk=Hazard+Outrage

リスクとは、ハザード(そのリスクが及ぼす影響の深刻さ、拡大の可能性等)とアウトレイジ(そのリスクによって一般国民が取り乱す可能性の高さ)を足したもの、だそうです。

1)ハザードが高くアウトレイジが低い場合、政府(等)がすべきことはプレコーションアドボカシー(警戒の唱道)。安心し過ぎな人に気をつけるように呼びかける。
2)ハザードが低くアウトレイジが高い場合、政府(等)がすべきことはアウトレイジマネジメント。過剰反応している国民を安心させること。
3)ハザードが高くアウトレイジも高い場合、政府(等)がすべきことはクライシス(危機)コミュニケーション。適度に反応し危機感を持っている人々を、この危機を一緒に乗り越えて行こうと促す。

明らかに、今の日本の状態は日本政府は 2)だと思っていますが、どちらかというと 3)。
なので、大丈夫大丈夫、と安心感を与えようとしている事は逆効果だというわけです。

日本政府の福島の対応について、この専門家は「日本語が読めないので、偏った情報かもしれない」と最初にことわりつつ、個人的な見解を説明しています。

例えば、スリーマイルアイランド事故をふりかえって。以下、引用と訳です。

In the early hours and days of the Three Mile Island accident, nobody knew for sure what was happening. That encouraged Metropolitan Edison to put the best face on things, to make the most reassuring statements it could make given what was known at the time. So as the news got worse, MetEd had to keep going back to the public and the authorities to say, in effect, “it’s worse than we thought.”
This violated the cardinal rule of crisis communication I discussed in my first answer: Always err on the alarming side, until you are absolutely 100% certain the situation cannot get any worse.

最初のうちは誰も何が起こっているか分かっていなかった。メトロポリタンエディソン(電力会社)はその時々に分かっていることについて、大丈夫だ、あまり心配するようなことではないと言い続けた。だから、事態が悪化した時に、電力会社は「思っていたより深刻だった」と言わざるを得なかった。
このことは、クライシスコミュニケーションの一番重要なルールを無視したことになる。そのルールとは、(そのような事態の時は)事態がこれ以上悪化しないと100%確信できるまでは、常に少々警戒しすぎ、くらいにしておくこと。

That’s why Pennsylvania Governor Dick Thornburgh ordered an evacuation of pregnant women and preschool children. MetEd was saying the amount of radiation escaping the site didn't justify any evacuation – and MetEd, it turns out, was right. But MetEd had been understating the seriousness of the accident from the outset. When the head of the Pennsylvania Emergency Management Agency misinterpreted a radiation reading from a helicopter flying through the plume, thinking it was probably an offsite reading of exposures reaching populated areas, Thornburgh didn't even check with the no-longer-credible utility (which could have told him PEMA had misunderstood the situation). He decided better safe than sorry and ordered the evacuation.

だから、ペンシルバニア州知事は女性と子供の避難を呼びかけた。電力会社側は、避難するほどの放射能漏れではない、と言った(そして、後から見てみれば、その意見は正しかった)。しかし、電力会社は最初から事の重大さを実際より控えめに報告していた。ペンシルバニアの緊急事態管理局がヘリコプターから測った放射線レベルを読み間違えて実際より高いレベルが観測されたと思った時、知事は電力会社に確認しようとはせず、"better safe than sorry"(注意し過ぎなくらいのほうが、万が一の場合に後悔するよりはマシ)と思い避難を決断した。

In contrast to Metropolitan Edison, the Pennsylvania Department of Health adopted an appropriately cautious approach. The Health Department was worried that radioactive Iodine 131 might escape from the nuclear plant, be deposited on the grass, get eaten by dairy cattle, and end up in local milk. Over a two-week period health officials issued several warnings urging people not to drink the milk. Meanwhile, they kept doing assays of the milk without finding any I-131. Their announcements moved slowly from “there will probably be I-131 in the milk” to “there may be I-131 in the milk” to “there doesn’t seem to be I-131 in the milk, but let us do one more round of testing just to be sure.”

電力会社とは逆に、ペンシルバニア州の健康局は適度な危機管理を行った。放射性ヨウ素がもしかしたら漏れたかもしれないと心配した当局は、2週間にわたり何度も地元の牛乳を飲まないように住民に注意を促した。その期間中ずっと当局は検査を続け、当初の「牛乳が放射性ヨウ素で汚染されてる可能性がある」から「牛乳が汚染されているかもしれない」から「今のところ放射性ヨウ素は検出されないが、もう一度確かめよう」という態度に移行した。

By the time the Health Department declared the milk safe to drink, virtually everyone believed it. While the Health Department’s caution hurt the dairy industry briefly, the rebound was quick because health officials were credibly seen as looking out for people’s health more than for the dairy industry’s short-term profits.

このことにより、当局が「牛乳は安全」と宣言した時、誰もが信じた。この警告により乳業は一時的に被害を受けたが、当局のマネジメントが良かった(乳業の利益よりも住民の健康にこれだけ気を使っている機関が安全というんだから、大丈夫だろうと住民が安心できた)ことにより、地元乳業はすぐに巻き返すことができた。

By contrast, the Japanese government said nothing in advance about even the possibility of radioactive milk, and then it suddenly announced that it had tested the milk from around Fukushima (apparently secretly), found more radioactivity than it considered acceptable, and decided to ban its sale. If and when the milk is deemed safe again, I wonder how soon anyone will believe it.

しかし、日本政府は牛乳の放射能については最初のうち何も言わず、突然「福島周辺の牛乳を検査したところ規定以上の値が出た」のでその牛乳の販売を中止した。このことで、牛乳が安全になった時、国民が信じるまでにどれくらい時間がかかるだろうかと思う[ちなみに、これは4月1日のポストです。]

[また、この一言。]
Arguably the cardinal sin in crisis communication is to tell people not to be afraid.

クライシスコミュニケーションで一番やってはいけないこと、それは「心配するな」と言うことだ。

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半年以上経った今、日本国民の政府への不信感が募っているように思えます。
それは、クライシスコミュニケーションに大失敗しているという点も一つの理由なのではと私は思います。
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by hamakkoinmidwest | 2011-11-15 08:12 | serious stuff | Comments(2)

チェルノブイリで子供を診療し、論文も多数書いている放射線科の教授に聞いてみた

結構世界的に有名な人らしいです。その教授。
たまたまうちの大学の教授で、4月にシンポジウムがあった時のトークを聞いて知りました。

私からのメール:

Dear Dr. ___.

私は__大学でポスドクをしていますが、このメールは一日本国民として書いています。
4月に先生もお話になったシンポジウムに行きました。とてもためになったので、先生の今のご意見も伺いたいのです。

私は最近になって福島原発の汚染が4月時点より酷いとわかったことを悲しく思っています。
http://www.nature.com/news/2011/111025/full/478435a.html

日本が事故直後に牛乳等を検査して国民がヨウ素131を摂取しないようにしたのはわかっているのですが、その他の放射性元素の汚染も無視できないように思うのです。

科学者として、将来的に疫学データが出た時に健康への被害がはっきりとわかるということはあまり期待していません。それにそのような研究データが出るまでには何十年もかかるでしょう。

私が理解する限り、人間が低レベルの放射能、例えばセシウム137(今の日本政府の限度は、毎食、毎日食べるものでも500Bq/kgです)で汚染されている食べ物をずっと食べ続けた場合何がおこるかということは分かっていない。それで正しいでしょうか?予測するに、チェルノブイリではヨウ素131の方が深刻だった、それにそのようなフォローアップの研究はチェルノブイリでは行われなかったのでは。

私の日本の友達は小さい子がいたり、これから出産します。彼女達の為にも正しい情報を持っていたいのです。今の日本の状況について先生からコメントを頂けると幸いです。

お時間ありがとうございます。

[私]

教授からのメール:

Dr.___(私)

ニュースや特に科学雑誌のニュース記事が情報を恐ろしく伝えてしまうことは不幸なことです。原発事故の健康への影響は放射能放出量とはあまり関係がありません。もし、その記事が示唆するように福島の放射能放出量がチェルノブイリの1/2だったとしても、事故による健康への被害がチェルノブイリの半分とならないのは次の通りです。
はじめに、日本政府はヨウ素131の危険を回避したので、甲状腺癌が増えるとは私は思いません。子供でもです。チェルノブイリ周辺の癌の増加は通常の癌疾患率からあまり変わらなかったので区別するのは困難でした。次に、事故当初風が東から西(注1)へ吹いたので、放出された放射性物質の多くは海に流されました。これが健康への影響を減少します。このようなことから、原発事故の健康への被害は観察されないと思います。

放射能汚染の総計についてはまだ不確かなこと多くありますが、放射能汚染を調べるのは簡単です。私のトークでガイガーカウンターで放射線を測るのがいかに簡単だったか見たでしょう?

とはいえ、日本国民の大規模な疫学的研究はたぶん行われることになるでしょう。安全なのならばそんな研究に大量の資金を使わないだろうと国民は思うから、研究を行うこと自体は国民の不安を煽ることになるでしょう。しかしもしそのような研究を行わなければ、隠蔽だと思われる。放射能はすでに研究し尽くされているので、これから30年もかかるような高額な研究から我々が学ぶことは残念ながらあまりないと思います。国民の健康維持にかける資金が限られている場合、ごくわずかな危険性を研究するのに大金を使うことは他の病気の研究・治療から資金を奪うことになり、そのために死ぬ人も出るでしょう。

私のトークで言ったので覚えているかもしれませんが、放射能の不安から、ヨーロッパでは欲しかった子供を人工中絶した女性が50000人もいます。

私たちがリスクを受け入れるかどうかは、リスクの大きさではなく、アウトレイジファクター(注2)です。

原発事故によって影響を受けた日本国民のほとんどは海面レベルに住んでいます。自然の放射能レベルは海面レベルでデンバー(コロラド州)より1mSv/年低い。それに、世界には自然の放射能レベルがチェルノブイリ周辺より高いところもあります(注3)。そのような場所に住む人が発ガン率が高いかというとそうではありません。多分他の因子(喫煙等)が関与する率が圧倒的に高いので、区別できないのです。また、CTスキャンは一回20mSv(注4)被ばくします。チェルノブイリで除染に関わった人たちはCTスキャン3-4回分ほど被ばくしていました。

チェルノブイリ同様、健康への一番の影響は社会的、政治的、心理的なものです。福島の災害がより深刻な悲劇を導かないために日本国民が賢明さを見い出せることを願っています。


注1)福島から太平洋に落ちるには西から東なのでは...単なる誤字ということにしておきます。
注2)outrage factorについては、大事な点なのですが書くと長くなるので次のポストで書きます。
注3) 世界の高自然放射線地域=中国の陽江県、インドのケララ、イランのラムサール等
まとめ論文(結局高自然放射線地域に住む事による健康への影響なし、だが、多数はコントロールが甘いから結論が出せないだけ) 
http://iopscience.iop.org/0952-4746/29/2A/S03/
注4)トークでは10mSvって言ってましたが、最高でってことですかね。

要するに、デンバーに住んでいてCTスキャンを一回やって、さらに日本と往復したりすると外部被ばくは軽く一年に20mSv超えるよ、っていうのは分かるのですが、放射性セシウムが微量入っている食べ物を食べ続けるとどうなるか分かっているか分かっていないのかが聞きたかったのです。結局「そんなに安全性が懸念されてない事には誰も研究費をつぎ込まない」ってところでしょうか。ちょっと口調(?)がcondescendingなような...とはいえ、きちんと返事してくださったので丁寧にお礼をしておきました。

ふと、自然に食べ物に含まれているカリウム40の量はどれくらいだろう?と思って調べてみたところ、次の通りです(一応注意して日本語ではなく英語ソースから取り、pCi/kgだったので分かりやすいようにBq/kgに換算しました)

バナナ 130Bq/kg
ブラジルナッツ 207Bq/kg
にんじん 126Bq/kg
じゃがいも 126Bq/kg
(ちなみにブラジルナッツはカリウム40に加え、ラジウム226が37-260Bq/kg入っているそうです。主食じゃなくてよかったですね)

参考:
http://www.oecd-nea.org/rp/chernobyl/c06.html
http://www.physics.isu.edu/radinf/natural.htm

でもカリウムは常に出入りしているけど、セシウムや他の同位体の体内での蓄積率が分からないのですよー。カリウムに似てるというので出入りしやすいのではと思いますが。
というわけで、今のところ、微量の同位体が入った食品を食べ続けても多分大丈夫だと思うけど、科学的に分かってない。という見解です。次はなるほど、と思ったoutrage factorについて書きます(つもりです)。
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by hamakkoinmidwest | 2011-11-12 07:43 | serious stuff | Comments(0)

日本の自然エネルギーの未来

最近、彼とエネルギーについて言い合っています。

彼は、日本には資源がないんだから原発は必要だろうと言うのですが、私は、原発は過去に新エネルギーが開発されるまでブリッジ的に使うもので、もう現在では必要ないくらいのテクノロジーがあっておかしくない。なのになんで減らそうという動きがなかったのか。と思うのです。最近の汚染の現実を目の当たりにして、そこまで国を汚染するエネルギー源を使いたいと思う人がどれくらいいるのでしょうか。
もちろん、突然原発を全部閉めるというのは現実的ではないでしょう。
でも、原発を最小限にしたい、なくしたいというモチベーションがあればどんどん進んでいたはずの自然エネルギー開発が、日本で大して進んでいなかったことに最近気づかされました。それはやはり、開発が進まないように圧力がかかっていたから。

アメリカでも、新エネルギー開発は圧迫を受けるか、研究資金が途切れる等で大幅に遅れを取りました。日本の場合はどうだったでしょう?
まず、この 日本に原発は必要か?というニューヨーカーの記事より。
ロッキーマウンテン研究所のチェアマンAmory Lovins氏曰く、
Exploiting or even seriously assessing that potential has been systematically suppressed for decades as a fatal competitor to nuclear power.

要は、原発の権力が揺るがされるようなエネルギー源の開発は、パイロット研究をする余地もなかったでしょう。
前にも書きましたが、東電の風力発電のあまりの小ささにビックリしました。あれでは風力を使っているうちに入らないので、大衆向けに新エネルギーも取り込んでます的な飾りとしてやってるとしか思えません。
また、Lovins氏は下記のことも述べています(抜粋)

Masayoshi Son (the richest man in Japan), with support from thirty-six of the forty-seven provincial governors, has said he and other private-sector leaders could replace the lost nuclear power with Japanese-made renewable sources within a few years.

Yet among all industrial countries, Japan is the richest per person, hectare, or yen in renewable energy potential of all kinds.

But if unfettered, as Son-san proposes, Japan could switch to renewables faster than anyone—and also has surprising efficiency potential left, especially in its buildings, which are broadly even less efficient than America’s.

要するに、ソフトバンク社長とその他の大企業リーダーが集まり、都道府県と協力すれば、ほんの数年で原発からきていた電力を自然エネルギーに全部取り替えることができる経済力と自然エネルギー源が日本にはある。というのです。

私は孫正義氏と自然エネルギーのことはあまり知らなかったのですが、孫氏の設立した自然エネルギー財団のホームページに行ってみました。
世界中から専門家を集めてシンポジウムを開いた時のビデオが日本語と英語両方で観られるようになっています。長いので全部見ていませんが、自然エネルギーへの移行には様々な分野の専門家が必要であり、こういったシンポジウムはとても効果的だと思います。

先ほどのリンクにも含まれていましたが、New Yorker記者のEvan Osnosの書いたThe Fallout (Letter from Fukushima)*という記事をやっと読み終わりました。有料ですが、大学図書館が購入していたおかげで読めました。
この記事には、どんな経緯で日本が原発を使うことになったか(アメリカが関わっています)、日本政府(特に首相、そして読売新聞)がどうやって国民を信用させていったか、そしてチェルノブイリ後に原発を増設したのは日本だけだったこと、最近では原発の安全性があまりにも過信され、実は福島が津波に会った場合の危険性が警告されていたのに無視されていたこと、などが書かれています。必読です。

*1/13/12 update- TranslatorさんがThe Fallout を和訳なさったということで、リンクを貼っておきます。

原発が日本経済の促進に多いに役に立った事は事実です。でも、それで科学技術が進歩してきた時も自然エネルギーに移行しよう努力しなかった事、また開発を抑制して来たことは、今となっては本当に愚かだとしか思えません。確かに、風力やソーラーは電力の供給が一定しないという欠点があります。また、何か一つの自然エネルギーで全て解決するなんていうことは不可能だと思います。でもそこで諦めていては終わりです。上記のシンポジウムでは電池を使って補う方法などが提案されていました。人間って追いつめられないとすごいものを開発できないのでは。今、日本はまさにその時ではないのでしょうか。愚かな政治家が邪魔しない事を願います。
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by hamakkoinmidwest | 2011-11-09 08:32 | serious stuff | Comments(2)

日本の風力発電の将来性と最近出て来た新技術

先日、うちの大学で工学部の教授の風力発電に関するセミナーがあったので聞いてきました。
学部生向けだったのでベーシックで分かりやすかったです。

今のアメリカ国内の電力供給では2009年の1%から少し上がって3%、2030年までには20%(デンマークでは既に20%は達成しているそうです)、2050年までには30%を供給するのが目標ということでした。
風力発電は、昔一度ブームになったのに、研究費が断たれてしまい(エンロンの汚職もあり)、最近までほとんど開発が進まなかったそうですが、エネルギー庁の研究サポート費用によりやっとここ数年で技術開発が進んで来たとか。

興味深いのが、発電所を設立するのに必要な費用を一キロワット計算にすると、火力発電が$2500、原発が$2000、風力が$3500だそうです。
原発は一番安いからできたのかも。(それに、原発の研究と称して核燃料の研究にも役立つからかもと思ってしまいます)

風力発電のタービンにはカットインスピード、カットアウトスピードというものがあり、カットインはそれ以下では発電できない風速、カットアウトはそれ以上では強すぎて発電できない風速をいい、場所によって一番いい範囲内に調節する必要があるとのことです。

風力発電でも、風が常に一定でないこと、メンテナンス、騒音、鳥やコウモリが死ぬ(同時に、大型の鳥だとタービンへのダメージもあり)などの問題点はありますが、最近開発された空に浮かぶ風力発電がかなりよさそうなので紹介します。

まだ開発段階であり、値段の比べようがないそうですが、実際に使用され始めたらコストもさらに下がるのでは。
私はこのセミナーの前にもポッドキャストで聞いて知っていたのですが、セミナーでは少し触れただけだったけれどやっぱり将来的に土地の少ないところでは魅力的だなぁと思ったので。

小規模な発電ではあるけれども実現化に一番近そうな会社がMagennというカナダの会社です。

要点
*ヘリウムや水素でバルーン状のものを飛ばし、通常の風力発電のタービンでは到達できない高さにタービンを位置できる。
*その高さなら鳥やコウモリの心配もなし。
*高度が上がるほど風が強くなるので、カットアウトスピードの高いタービンを使用でき、効率的。
*メンテナンスの時には地上に下げることができるので、大型クレーンが必要ない。
*地上に比べ、突如風が止むということがほとんどないので、供給が一定している

嵐の時には地上に下げる必要があるなど、欠点もありますが、土地が限られたところではかなり魅力的ではないでしょうか。将来的に発電力がスケールアップできればいいのですが。
こんなカンファレンスまであるみたいです。まさに開発途中!

また、セミナー後にその教授に聞いたら、日本はオフショア(洋上)風力発電にも向いているから、風力でかなりの電力が供給できるはずと仰ってました。他のクリーンエネルギーもがんばれば、原発要らなくなるかも。

そこで今ちょっと調べてみたら、東京電力の風力発電は500キロワットしか発電してない八丈島の発電所のたった一カ所のみ!(ウィキペディアでチョロっと調べただけなので間違ってたらすみません)
静岡に18メガワットの風力発電所を建設中らしいですが...。ここまで使ってないとは知らなかった(- -;
まぁオフショアだと養殖や船の邪魔になったりだのあるかもしれないけど、原発よりよっぽどいいのでは?
リーダーシップと資金を駆使してなんとかしてほしいものです...。

自分自身が新エネルギーの分野にいて思うのが、○○(ある特別な発電または燃料)はこういう欠点があるからばっさりやめよう、というのではなくて、リニューアブルであるならば、どんな欠点があっても将来的に改善される可能性があるから諦めないで研究を続けるべきということです。例えば、現在アメリカでとうもろこしからエタノールを作っているのは大したCO2削減にもならなければ実は環境にもやさしくないし、食べ物の値段全般が上がってしまい全く良いところがないですが、将来的に農業廃棄物からエタノールか、よりよい燃料ができるときに、今使っている工場の技術が一部使え、輸送系も整っている。そういう点で無駄ではないと言えます。そして、将来的に超画期的でこれさえあれば何もいらない、というエネルギー源が発明されでもしない限り、使えるものは全て使って行かなければ需要エネルギーを満たすことができないというのが現状です。
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by hamakkoinmidwest | 2011-10-13 01:22 | serious stuff | Comments(0)

今朝頭にきたこと

時間がないので長くかけませんが、このニュースヘッドラインを見て頭に来たので一言。

甲状腺機能 福島の子供10人に変化 NPO検診

*以下、記事をそのままコピペしました*

 長野県松本市のNPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」(鎌田実理事長)と信州大医学部付属病院が、東京電力福島第1原発事故後に県内へ避難した福島県の子どもを検診し、130人中10人で、甲状腺ホルモンが基準値を下回るなど甲状腺機能に変化があったことが4日分かった。健康状態に問題はなく原発事故との関連は不明といい、NPOは「参考データがなく、長期の経過観察が必要だ」と話している。

 10人の内訳は▽甲状腺ホルモンが基準値以下1人▽甲状腺刺激ホルモンが基準値以上7人▽甲状腺組織が壊れたことなどを示すたんぱく質「サイログロブリン」の血中濃度が基準値以上2人--で、甲状腺異常や甲状腺機能低下症はなかった。

 長野県茅野市に避難した生後6カ月~16歳の130人(男75人、女55人)を対象に7月28日~8月25日、問診や尿・血液検査をした。

*******

「参考データがなく、長期の経過観察が必要だ」って言ってるんだから、はっきり言って何の意味もないです。この記事、タイトルだけ見たらかなり誤解を招くものですよね。参考データ(コントロール)は、科学的に物事を議論するには不可欠です。
コントロール無しでは全く何も言えません!
この場合のコントロールとは、他の地域の同じ年齢層の子供からのデータと比べること。しかも、一カ所vs一カ所だけでなく、グループごとに相当な人数と、比べるコントロールグループも違う地方から何カ所も比べる必要があります。

大体、人間を対象とする研究は、元々コントロールがバラバラで、相当な数を集めないことには結論が怪しいです。
コントロールが元々バラバラ、というのは、動植物、微生物を使って実験する我々から見たら、人間は何人集めたところで一人一人持ってる遺伝子の組み合わせが違います。その時点で、基礎研究では既にコントロールが無効ということになってしまいますが、人間が対象な場合どうしようもありません(だから一卵性の双子を使った研究があるわけですが)。
また、動物と違って、調査する人間を全く同じ環境に置くということができません。
なので、個人個人でどういうものを食べて生活してるか、どんな水を飲んでいるか、どんな空気を吸っているか、等が全てまちまちです。

それなのにニュースで、こんな結論が全く出せない調査結果をこんなタイトルで取り上げる意味が分からない。

私の知り合いで被災地に赴いた医師がインタビューされた時も、新聞に自分の言ったことと違うこと書かれた、と言ってました。
取材した人がよく分からないのならば、ドラフトを本人に送ってチェックしてもらうなりしたらどうなんでしょうかね。
一刻も早く、もっと大規模な調査が行われ、意味のあるデータが出てくることを願います。
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by hamakkoinmidwest | 2011-10-04 23:40 | serious stuff | Comments(0)

私:Ph.D.をとるためアメリカに来て今はアカデミアとスタートアップの境に存在。夫:元コミットメントフォービックなアメリカ人医師兼研究者。アシスタントプロフェッサー。
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生命科学系PhDをとるため日本の大学卒業後アメリカに来て、当時MD/PhDコース中のPhDの方をやっていた彼と出会いました。彼のレジデンシーの間は国内で遠距離をしていましたが、フェローシップでこの都市に戻ってきたので、何年か一緒に住んでから結婚しました。体外受精の末恵まれた娘と3人暮らし。

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