生物学者のアメリカ暮らし。

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犬を失うこと

彼の犬Jは、彼のことを私より長く知っています。メディカルスクール時代も、彼と元彼女の別れも。付き合って7年近く、彼とJの絆がとても深いのは良く分かっていましたが、一緒に住み始めてからJが私も家族の一員と思うようになってくれ(というのは伝わってくるので分かります)、3人家族のように過ごしてきました。かけがえのない存在でした。私が博士論文を家で書いていた時も一緒でした。ハイキングやキャンプに行く時もいつも一緒でした。彼が私にプロポーズした時も一緒でした。

日曜日の夜、Jの歩き方がちょっとおかしくなりました。後ろ足がちょっと酔っぱらいの千鳥足みたいになって。
でも起き上がってしばらくすると普通に歩けていました。

月曜日家に帰ると、歩き方が酷くなっていました。立つのが難しくなり、ヨロヨロして、すぐに座り込んでしまう。
心配に思って、彼が帰って来てから外に出してみたら、階段が登れなくなっていることがわかり、二人で愕然としました。
Jはいつものように私たちが寝る時間にベッドルームに来ました。不安で不安で彼も私も夜ほとんど眠れなくて、ヨロヨロと水を飲みに行く足音を聞くだけで、一晩で症状がさらにひどくなってきているのがわかりました。
火曜日の朝には後ろ脚が完全にだめになっていて、運ばないとどこにも行けなくなっていました。私も彼も仕事を休み、朝動物病院に直行しました。
disc diseaseの可能性とLS(lumbosacral stenosis)の可能性がある。と言われ、discの場合は治る可能性が高いけど、LSの場合はちょっと難しいと言われました。
レントゲン写真のため、Jに全身麻酔を施す必要があり、その間病院付近のカフェで待ちました。ランチはほとんど喉を通りませんでした。

レントゲンの結果はLSを疑うとのことでした。

ジャーマンシェパードの平均寿命は10歳弱。Jは11歳近いので、手術すれば治る可能性もあるけど、手術に踏み切れない場合は安楽死も考えた方がいいと言われました。

この決断がどんなに辛かったか。

私は、彼に最終決断を任せましたが、手術するならお金は半分出すし、リハビリケアもがんばる。でも安楽死なら、Jは動物病院嫌いだから家でないと。と言いました。

彼は手術の予約と安楽死の予約を両方とって、「Jとは11年近く一緒にロードトリップをしてきたんだ。Jはロードトリップ好きなんだよ。」と言って、あてもなくハイウェイを運転し出しました。

100マイルくらい運転したでしょうか。

Jが悲しそうな声を出すので、トイレに行きたいのかな、と思い外に出す事にしました。
排泄もままならなくなり、申し訳なさそうというか、悲しそうな顔をしていました。元々抱えられるのとかが大嫌いなJ。服を着させられたり、エリザベスカラーをはめられたりすると、あまりの情けなさに固まってしまうJ。
Jは威厳のある犬なんです。
彼は、それで決意しました。私たちはJの威厳を守るべきだと。
もちろんJに1年でも長く生きて欲しかった。手術をしてオムツをしてでも、歩行器を着けてでも。
でも、それは私たちのわがままであり、Jが自分で歩けなくなった時、自分でトイレに行けなくなった時、楽に逝かせてあげることでしか、Jの威厳を守ることはできなかったのです。
この決断は心臓を中からえぐられるくらい辛かったです。
でも深く愛しているからこそ、Jを完全に理解しているからこそたどり着いた決断でした。

その夜は、もうJは自力で動けなくなっていたので、犬ベッドに乗せてベッドルームまで動かしました。それでも運ばれるのを嫌がっていました。前日はそんなに痛そうじゃなかったのに、その夜は痛そうな声を上げることもあり、私も彼も何度か起きて安心させようと努力しました。

水曜日も二人とも仕事を休み、彼は手術の予約をキャンセルしました。それから二人で号泣。泣きつかれた後、Jが若い頃よく遊んでいたスポットに行ったり、昔住んでいた界隈を運転したりしました。Jは車窓から顔を出して、外のにおいを嗅いでいました。思い出のあるところを通るときは特に一生懸命嗅いでいました。

私は、「Jに食べさせたいものがあるから、グロッサリーストアに寄って」と言って、彼とJを車に残してステーキ肉を買ってきました。

さいころステーキとベーコン、Jの好きな生のニンジン。
もう、一人で料理していてもJが様子見に来ないんだな。と思うと、キッチンに立った瞬間に涙があふれてきました。

普通のドッグフードは火曜日から食べなかったJですが、最後の食事は美味しそうに食べていました。

それから彼と私は何もする気力が起きなくて、Jがイビキをかいて寝るのをカウチからぼーっと眺めました。
夕方、予約時間より少し遅れて動物病院のチームが到着しました。
獣医さんとアシスタント2人。
Jのために泣かないようにがんばろうと言っていたのに全然ダメでした。

最初、獣医さんが低濃度の筋弛緩剤(?)を注射しました。意識は残して、安楽死に備えリラックスさせる為です。私と彼はJの頭を膝にのせ、話しかけていました。
Jを大好きな犬ベッドに移して、致死量の麻酔薬を投与。
獣医さんは心音を聞いていて、止まった時小さく He's gone. と言いました。
こんなに予期できる死に方なのに、やっぱり信じられなかったです。今まで息をしていたものが動かなくなったことが。
チームは、私たちだけで悲しみに暮れる時間をくれて、Jを運ぶためのブランケットや担架を家に運びました。

私でもこんなに辛いのに、10年以上もの親友を失った彼の痛みは計り知れません。
でも、私がいなかったら1000倍くらい辛かったと思うとか、私がいて本当によかったと言ってくれているので、少しでも助けにはなっているようです。

これから二人でなんとか乗り切りたいと思います。
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by hamakkoinmidwest | 2011-11-18 07:56 | 同じ屋根の下 | Comments(6)

Outrage factor- クライシスコミュニケーションの基本

前回の続きです。

Outrage factorって何だ?と思ったので調べてみたら、リスク・コミュニケーションの専門家のこのページを発見し、なるほどと思った事が沢山ありました。

何らかのリスクがある時に政府が市民・国民に注意を呼びかける時、どのようにその状況を扱うかによって、一般からの反応が違ってくるということ。

Risk=Hazard+Outrage

リスクとは、ハザード(そのリスクが及ぼす影響の深刻さ、拡大の可能性等)とアウトレイジ(そのリスクによって一般国民が取り乱す可能性の高さ)を足したもの、だそうです。

1)ハザードが高くアウトレイジが低い場合、政府(等)がすべきことはプレコーションアドボカシー(警戒の唱道)。安心し過ぎな人に気をつけるように呼びかける。
2)ハザードが低くアウトレイジが高い場合、政府(等)がすべきことはアウトレイジマネジメント。過剰反応している国民を安心させること。
3)ハザードが高くアウトレイジも高い場合、政府(等)がすべきことはクライシス(危機)コミュニケーション。適度に反応し危機感を持っている人々を、この危機を一緒に乗り越えて行こうと促す。

明らかに、今の日本の状態は日本政府は 2)だと思っていますが、どちらかというと 3)。
なので、大丈夫大丈夫、と安心感を与えようとしている事は逆効果だというわけです。

日本政府の福島の対応について、この専門家は「日本語が読めないので、偏った情報かもしれない」と最初にことわりつつ、個人的な見解を説明しています。

例えば、スリーマイルアイランド事故をふりかえって。以下、引用と訳です。

In the early hours and days of the Three Mile Island accident, nobody knew for sure what was happening. That encouraged Metropolitan Edison to put the best face on things, to make the most reassuring statements it could make given what was known at the time. So as the news got worse, MetEd had to keep going back to the public and the authorities to say, in effect, “it’s worse than we thought.”
This violated the cardinal rule of crisis communication I discussed in my first answer: Always err on the alarming side, until you are absolutely 100% certain the situation cannot get any worse.

最初のうちは誰も何が起こっているか分かっていなかった。メトロポリタンエディソン(電力会社)はその時々に分かっていることについて、大丈夫だ、あまり心配するようなことではないと言い続けた。だから、事態が悪化した時に、電力会社は「思っていたより深刻だった」と言わざるを得なかった。
このことは、クライシスコミュニケーションの一番重要なルールを無視したことになる。そのルールとは、(そのような事態の時は)事態がこれ以上悪化しないと100%確信できるまでは、常に少々警戒しすぎ、くらいにしておくこと。

That’s why Pennsylvania Governor Dick Thornburgh ordered an evacuation of pregnant women and preschool children. MetEd was saying the amount of radiation escaping the site didn't justify any evacuation – and MetEd, it turns out, was right. But MetEd had been understating the seriousness of the accident from the outset. When the head of the Pennsylvania Emergency Management Agency misinterpreted a radiation reading from a helicopter flying through the plume, thinking it was probably an offsite reading of exposures reaching populated areas, Thornburgh didn't even check with the no-longer-credible utility (which could have told him PEMA had misunderstood the situation). He decided better safe than sorry and ordered the evacuation.

だから、ペンシルバニア州知事は女性と子供の避難を呼びかけた。電力会社側は、避難するほどの放射能漏れではない、と言った(そして、後から見てみれば、その意見は正しかった)。しかし、電力会社は最初から事の重大さを実際より控えめに報告していた。ペンシルバニアの緊急事態管理局がヘリコプターから測った放射線レベルを読み間違えて実際より高いレベルが観測されたと思った時、知事は電力会社に確認しようとはせず、"better safe than sorry"(注意し過ぎなくらいのほうが、万が一の場合に後悔するよりはマシ)と思い避難を決断した。

In contrast to Metropolitan Edison, the Pennsylvania Department of Health adopted an appropriately cautious approach. The Health Department was worried that radioactive Iodine 131 might escape from the nuclear plant, be deposited on the grass, get eaten by dairy cattle, and end up in local milk. Over a two-week period health officials issued several warnings urging people not to drink the milk. Meanwhile, they kept doing assays of the milk without finding any I-131. Their announcements moved slowly from “there will probably be I-131 in the milk” to “there may be I-131 in the milk” to “there doesn’t seem to be I-131 in the milk, but let us do one more round of testing just to be sure.”

電力会社とは逆に、ペンシルバニア州の健康局は適度な危機管理を行った。放射性ヨウ素がもしかしたら漏れたかもしれないと心配した当局は、2週間にわたり何度も地元の牛乳を飲まないように住民に注意を促した。その期間中ずっと当局は検査を続け、当初の「牛乳が放射性ヨウ素で汚染されてる可能性がある」から「牛乳が汚染されているかもしれない」から「今のところ放射性ヨウ素は検出されないが、もう一度確かめよう」という態度に移行した。

By the time the Health Department declared the milk safe to drink, virtually everyone believed it. While the Health Department’s caution hurt the dairy industry briefly, the rebound was quick because health officials were credibly seen as looking out for people’s health more than for the dairy industry’s short-term profits.

このことにより、当局が「牛乳は安全」と宣言した時、誰もが信じた。この警告により乳業は一時的に被害を受けたが、当局のマネジメントが良かった(乳業の利益よりも住民の健康にこれだけ気を使っている機関が安全というんだから、大丈夫だろうと住民が安心できた)ことにより、地元乳業はすぐに巻き返すことができた。

By contrast, the Japanese government said nothing in advance about even the possibility of radioactive milk, and then it suddenly announced that it had tested the milk from around Fukushima (apparently secretly), found more radioactivity than it considered acceptable, and decided to ban its sale. If and when the milk is deemed safe again, I wonder how soon anyone will believe it.

しかし、日本政府は牛乳の放射能については最初のうち何も言わず、突然「福島周辺の牛乳を検査したところ規定以上の値が出た」のでその牛乳の販売を中止した。このことで、牛乳が安全になった時、国民が信じるまでにどれくらい時間がかかるだろうかと思う[ちなみに、これは4月1日のポストです。]

[また、この一言。]
Arguably the cardinal sin in crisis communication is to tell people not to be afraid.

クライシスコミュニケーションで一番やってはいけないこと、それは「心配するな」と言うことだ。

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半年以上経った今、日本国民の政府への不信感が募っているように思えます。
それは、クライシスコミュニケーションに大失敗しているという点も一つの理由なのではと私は思います。
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by hamakkoinmidwest | 2011-11-15 08:12 | serious stuff | Comments(2)

チェルノブイリで子供を診療し、論文も多数書いている放射線科の教授に聞いてみた

結構世界的に有名な人らしいです。その教授。
たまたまうちの大学の教授で、4月にシンポジウムがあった時のトークを聞いて知りました。

私からのメール:

Dear Dr. ___.

私は__大学でポスドクをしていますが、このメールは一日本国民として書いています。
4月に先生もお話になったシンポジウムに行きました。とてもためになったので、先生の今のご意見も伺いたいのです。

私は最近になって福島原発の汚染が4月時点より酷いとわかったことを悲しく思っています。
http://www.nature.com/news/2011/111025/full/478435a.html

日本が事故直後に牛乳等を検査して国民がヨウ素131を摂取しないようにしたのはわかっているのですが、その他の放射性元素の汚染も無視できないように思うのです。

科学者として、将来的に疫学データが出た時に健康への被害がはっきりとわかるということはあまり期待していません。それにそのような研究データが出るまでには何十年もかかるでしょう。

私が理解する限り、人間が低レベルの放射能、例えばセシウム137(今の日本政府の限度は、毎食、毎日食べるものでも500Bq/kgです)で汚染されている食べ物をずっと食べ続けた場合何がおこるかということは分かっていない。それで正しいでしょうか?予測するに、チェルノブイリではヨウ素131の方が深刻だった、それにそのようなフォローアップの研究はチェルノブイリでは行われなかったのでは。

私の日本の友達は小さい子がいたり、これから出産します。彼女達の為にも正しい情報を持っていたいのです。今の日本の状況について先生からコメントを頂けると幸いです。

お時間ありがとうございます。

[私]

教授からのメール:

Dr.___(私)

ニュースや特に科学雑誌のニュース記事が情報を恐ろしく伝えてしまうことは不幸なことです。原発事故の健康への影響は放射能放出量とはあまり関係がありません。もし、その記事が示唆するように福島の放射能放出量がチェルノブイリの1/2だったとしても、事故による健康への被害がチェルノブイリの半分とならないのは次の通りです。
はじめに、日本政府はヨウ素131の危険を回避したので、甲状腺癌が増えるとは私は思いません。子供でもです。チェルノブイリ周辺の癌の増加は通常の癌疾患率からあまり変わらなかったので区別するのは困難でした。次に、事故当初風が東から西(注1)へ吹いたので、放出された放射性物質の多くは海に流されました。これが健康への影響を減少します。このようなことから、原発事故の健康への被害は観察されないと思います。

放射能汚染の総計についてはまだ不確かなこと多くありますが、放射能汚染を調べるのは簡単です。私のトークでガイガーカウンターで放射線を測るのがいかに簡単だったか見たでしょう?

とはいえ、日本国民の大規模な疫学的研究はたぶん行われることになるでしょう。安全なのならばそんな研究に大量の資金を使わないだろうと国民は思うから、研究を行うこと自体は国民の不安を煽ることになるでしょう。しかしもしそのような研究を行わなければ、隠蔽だと思われる。放射能はすでに研究し尽くされているので、これから30年もかかるような高額な研究から我々が学ぶことは残念ながらあまりないと思います。国民の健康維持にかける資金が限られている場合、ごくわずかな危険性を研究するのに大金を使うことは他の病気の研究・治療から資金を奪うことになり、そのために死ぬ人も出るでしょう。

私のトークで言ったので覚えているかもしれませんが、放射能の不安から、ヨーロッパでは欲しかった子供を人工中絶した女性が50000人もいます。

私たちがリスクを受け入れるかどうかは、リスクの大きさではなく、アウトレイジファクター(注2)です。

原発事故によって影響を受けた日本国民のほとんどは海面レベルに住んでいます。自然の放射能レベルは海面レベルでデンバー(コロラド州)より1mSv/年低い。それに、世界には自然の放射能レベルがチェルノブイリ周辺より高いところもあります(注3)。そのような場所に住む人が発ガン率が高いかというとそうではありません。多分他の因子(喫煙等)が関与する率が圧倒的に高いので、区別できないのです。また、CTスキャンは一回20mSv(注4)被ばくします。チェルノブイリで除染に関わった人たちはCTスキャン3-4回分ほど被ばくしていました。

チェルノブイリ同様、健康への一番の影響は社会的、政治的、心理的なものです。福島の災害がより深刻な悲劇を導かないために日本国民が賢明さを見い出せることを願っています。


注1)福島から太平洋に落ちるには西から東なのでは...単なる誤字ということにしておきます。
注2)outrage factorについては、大事な点なのですが書くと長くなるので次のポストで書きます。
注3) 世界の高自然放射線地域=中国の陽江県、インドのケララ、イランのラムサール等
まとめ論文(結局高自然放射線地域に住む事による健康への影響なし、だが、多数はコントロールが甘いから結論が出せないだけ) 
http://iopscience.iop.org/0952-4746/29/2A/S03/
注4)トークでは10mSvって言ってましたが、最高でってことですかね。

要するに、デンバーに住んでいてCTスキャンを一回やって、さらに日本と往復したりすると外部被ばくは軽く一年に20mSv超えるよ、っていうのは分かるのですが、放射性セシウムが微量入っている食べ物を食べ続けるとどうなるか分かっているか分かっていないのかが聞きたかったのです。結局「そんなに安全性が懸念されてない事には誰も研究費をつぎ込まない」ってところでしょうか。ちょっと口調(?)がcondescendingなような...とはいえ、きちんと返事してくださったので丁寧にお礼をしておきました。

ふと、自然に食べ物に含まれているカリウム40の量はどれくらいだろう?と思って調べてみたところ、次の通りです(一応注意して日本語ではなく英語ソースから取り、pCi/kgだったので分かりやすいようにBq/kgに換算しました)

バナナ 130Bq/kg
ブラジルナッツ 207Bq/kg
にんじん 126Bq/kg
じゃがいも 126Bq/kg
(ちなみにブラジルナッツはカリウム40に加え、ラジウム226が37-260Bq/kg入っているそうです。主食じゃなくてよかったですね)

参考:
http://www.oecd-nea.org/rp/chernobyl/c06.html
http://www.physics.isu.edu/radinf/natural.htm

でもカリウムは常に出入りしているけど、セシウムや他の同位体の体内での蓄積率が分からないのですよー。カリウムに似てるというので出入りしやすいのではと思いますが。
というわけで、今のところ、微量の同位体が入った食品を食べ続けても多分大丈夫だと思うけど、科学的に分かってない。という見解です。次はなるほど、と思ったoutrage factorについて書きます(つもりです)。
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by hamakkoinmidwest | 2011-11-12 07:43 | serious stuff | Comments(0)

日本の自然エネルギーの未来

最近、彼とエネルギーについて言い合っています。

彼は、日本には資源がないんだから原発は必要だろうと言うのですが、私は、原発は過去に新エネルギーが開発されるまでブリッジ的に使うもので、もう現在では必要ないくらいのテクノロジーがあっておかしくない。なのになんで減らそうという動きがなかったのか。と思うのです。最近の汚染の現実を目の当たりにして、そこまで国を汚染するエネルギー源を使いたいと思う人がどれくらいいるのでしょうか。
もちろん、突然原発を全部閉めるというのは現実的ではないでしょう。
でも、原発を最小限にしたい、なくしたいというモチベーションがあればどんどん進んでいたはずの自然エネルギー開発が、日本で大して進んでいなかったことに最近気づかされました。それはやはり、開発が進まないように圧力がかかっていたから。

アメリカでも、新エネルギー開発は圧迫を受けるか、研究資金が途切れる等で大幅に遅れを取りました。日本の場合はどうだったでしょう?
まず、この 日本に原発は必要か?というニューヨーカーの記事より。
ロッキーマウンテン研究所のチェアマンAmory Lovins氏曰く、
Exploiting or even seriously assessing that potential has been systematically suppressed for decades as a fatal competitor to nuclear power.

要は、原発の権力が揺るがされるようなエネルギー源の開発は、パイロット研究をする余地もなかったでしょう。
前にも書きましたが、東電の風力発電のあまりの小ささにビックリしました。あれでは風力を使っているうちに入らないので、大衆向けに新エネルギーも取り込んでます的な飾りとしてやってるとしか思えません。
また、Lovins氏は下記のことも述べています(抜粋)

Masayoshi Son (the richest man in Japan), with support from thirty-six of the forty-seven provincial governors, has said he and other private-sector leaders could replace the lost nuclear power with Japanese-made renewable sources within a few years.

Yet among all industrial countries, Japan is the richest per person, hectare, or yen in renewable energy potential of all kinds.

But if unfettered, as Son-san proposes, Japan could switch to renewables faster than anyone—and also has surprising efficiency potential left, especially in its buildings, which are broadly even less efficient than America’s.

要するに、ソフトバンク社長とその他の大企業リーダーが集まり、都道府県と協力すれば、ほんの数年で原発からきていた電力を自然エネルギーに全部取り替えることができる経済力と自然エネルギー源が日本にはある。というのです。

私は孫正義氏と自然エネルギーのことはあまり知らなかったのですが、孫氏の設立した自然エネルギー財団のホームページに行ってみました。
世界中から専門家を集めてシンポジウムを開いた時のビデオが日本語と英語両方で観られるようになっています。長いので全部見ていませんが、自然エネルギーへの移行には様々な分野の専門家が必要であり、こういったシンポジウムはとても効果的だと思います。

先ほどのリンクにも含まれていましたが、New Yorker記者のEvan Osnosの書いたThe Fallout (Letter from Fukushima)*という記事をやっと読み終わりました。有料ですが、大学図書館が購入していたおかげで読めました。
この記事には、どんな経緯で日本が原発を使うことになったか(アメリカが関わっています)、日本政府(特に首相、そして読売新聞)がどうやって国民を信用させていったか、そしてチェルノブイリ後に原発を増設したのは日本だけだったこと、最近では原発の安全性があまりにも過信され、実は福島が津波に会った場合の危険性が警告されていたのに無視されていたこと、などが書かれています。必読です。

*1/13/12 update- TranslatorさんがThe Fallout を和訳なさったということで、リンクを貼っておきます。

原発が日本経済の促進に多いに役に立った事は事実です。でも、それで科学技術が進歩してきた時も自然エネルギーに移行しよう努力しなかった事、また開発を抑制して来たことは、今となっては本当に愚かだとしか思えません。確かに、風力やソーラーは電力の供給が一定しないという欠点があります。また、何か一つの自然エネルギーで全て解決するなんていうことは不可能だと思います。でもそこで諦めていては終わりです。上記のシンポジウムでは電池を使って補う方法などが提案されていました。人間って追いつめられないとすごいものを開発できないのでは。今、日本はまさにその時ではないのでしょうか。愚かな政治家が邪魔しない事を願います。
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by hamakkoinmidwest | 2011-11-09 08:32 | serious stuff | Comments(2)

私:Ph.D.をとるためアメリカに来て今はアカデミアとスタートアップの境に存在。夫:元コミットメントフォービックなアメリカ人医師兼研究者。アシスタントプロフェッサー。
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生命科学系PhDをとるため日本の大学卒業後アメリカに来て、当時MD/PhDコース中のPhDの方をやっていた彼と出会いました。彼のレジデンシーの間は国内で遠距離をしていましたが、フェローシップでこの都市に戻ってきたので、何年か一緒に住んでから結婚しました。体外受精の末恵まれた娘と3人暮らし。

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