生物学者のアメリカ暮らし。

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おたふく風邪と日本

Facebookで日本人の友達の子供がおたふく風邪の疑い、というポストがあって、結局違ったので安心したのですが、なぜ日本はおたふく風邪の予防注射が任意なんだろう?と不思議に思い、調べてみました。
ちなみに友達の子供がおたふく風邪かも、という時点で夫は驚愕。アメリカではMMR(風疹、マンプス(おたふく風邪)、麻疹)の混合ワクチンがほぼ義務づけられているので、おたふく風邪自体珍しいのです。「子供のうちに罹れば軽い」とはいっても、それが原因で片耳の聴覚を失う確立は1000人に1人だそうで、それを発表した日本のチームの論文に対して「な、なんでそれでワクチンちゃんと打ってない訳?聞こえないの?(すごく意訳)」という痛烈な批判コメント(この雑誌にアクセスがないと読めません)が発表されました。
おたふく風邪はVaccine preventable disease(ワクチンで予防可能な病気)の一つ。
http://www.cdc.gov/vaccines/vpd-vac/vpd-list.htm
ではなぜ、おたふく風邪のワクチンが日本で浸透してないのか、というと、どうやら1989年から1993年にかけて行われたMMRワクチンのうち、おたふく風邪ワクチンの副作用で髄膜炎が結構出たとのこと。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16884835
この論文によれば、アメリカ国内で使われているおたふく風邪ワクチンはJeryl-Lynn株で、髄膜炎を起こす確立は1億分の1以下なのに対し、日本で使われた株は1/1000とかそれより多い可能性も。髄膜炎は1週間ほどで自然治癒し、後遺症もほとんどないのですが、そこまで確立が高いと使わなくなったのも当たり前。っていうか日本のワクチン開発者、何やってたんですか。。。
この厚生省の発表によると日本で既にJeryl-Lynn株はテストしてある。なのに効果は日本の株の方が高いとして、日本では髄膜炎を起こす可能性の高いワクチンを使っているみたいです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000014wdd-att/2r98520000016rqu.pdf
ワクチンによる副作用の少なさをとるか、ワクチンの効き目をとるか、ってとこですかね。。
実際、アメリカ国内でも流行は何回かあって、大体ヨーロッパ旅行とか行ってかかって帰ってきた大学生がルームメイトにうつす、そのルームメイトがマブダチとか彼氏彼女とか、一日中一緒にいる人にうつす、(潜伏期間中も感染する)という、かなり接点の多い設定だとワクチンを2回受けててもうつるそうな。でも、その場合は卵巣炎とか睾丸炎になるケースはほぼないそうで、ウィルスがうつる事自体は防げないけれども危険な症状は防げることが多いということです。だから、副作用の恐怖心を与えないために、副作用の少ない方を選択するのが普通だと思う。

ちなみに、
f0171104_7122178.jpg
おたふく風邪件数を人口1000人あたりにプロットしてみました。かなりめんどくさかったので2012年が左になってるとかいう文句は受け付けません。(情報源:http://apps.who.int/immunization_monitoring/globalsummary/timeseries/tsincidencemumps.html 国ごとの人口 http://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL )
左からオーストラリア、ベルギー、カナダ、中国、コロンビア、イタリア、日本、ネパール、オランダ、ニュージーランド、韓国、スウェーデン、グレートブリテン、アメリカ合衆国です。
日本はネパールと同じレベルということがわかりますね。

アメリカにおける反ワクチンの動きについては長くなるのでまたの機会に書こうと思います。
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by hamakkoinmidwest | 2014-06-02 07:12 | serious stuff | Comments(0)

私:Ph.D.をとるためアメリカに来て今はアカデミアとスタートアップの境に存在。夫:元コミットメントフォービックなアメリカ人医師兼研究者。アシスタントプロフェッサー。
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生命科学系PhDをとるため日本の大学卒業後アメリカに来て、当時MD/PhDコース中のPhDの方をやっていた彼と出会いました。彼のレジデンシーの間は国内で遠距離をしていましたが、フェローシップでこの都市に戻ってきたので、何年か一緒に住んでから結婚しました。体外受精の末恵まれた娘と3人暮らし。

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